2019 / 1 / 23 / Wed.香港入門

おめでたさ満開 香港の旧正月

香港の正月は旧暦(旧正月)で祝うことはよく知られていると思います。もちろん新暦の1月1日、日本でいう元日もカウントダウンを含めて新年を祝い、それなりに年越しは盛り上がります。しかし、12月31日まで普通に仕事をして1月1日だけが祝日。それに対し、旧正月は、1ヶ月ほど前から街中に赤や金の盛大な装飾があふれ、お年玉・お年賀の支度など、華やかにつつがなくその日を迎えようという高いモチベーションの元で準備が進められます。香港人にとって1年で最も大切な節目のひとつである旧正月とはどんなものか、入門編をお伝えします。

旧正月の日付けは毎年変わります!

現在日常で用いられる新暦ではなく、旧暦で祝うためその日にちは毎年異なります。早ければ1月下旬、遅ければ2月中旬となり、2019年は2月5日に新年を迎えます。毎年旧正月のころが香港の寒さの底といわれますが、日にちが年によって異なるにもかかわらず、本当に寒さが厳しい日が多いのが不思議です。香港では、元日を「初一(チョーヤッ)」、正月二日を「初二(チョーイッ)」、正月三日を「初三(チョーサーム)」と呼びます。

新札を求めて銀行に大行列

ある程度の年齢になると、まずは配布するお年玉の準備を整えなくてはなりません。香港のお年玉は「利是(ライシー)」といい、赤や紫に金文字などが入った派手な袋が「利是封(ライシーフォン)」と呼ばれるお年玉袋です。利是袋は、販売の専門店のほか、商店や、商品のオマケでついてきたりもします。

香港のお年玉は身内や親戚筋だけでなく、住んでいるマンションのセキュリティや掃除のスタッフ、行きつけのお店の店員さん、職場に独身の部下や年若いスタッフがいればその人たちにも配るという大盤振る舞いが基本。中身は10~20ドルから、大切な人には100~300ドルほど入れることが多いようです。利是を配る数が多く、しかも新札で用意する必要があるので、旧正月の1ヶ月も前から銀行に新札を手に入れるための行列ができます。
昔は、いただいた利是は初一から数えて15日目、最初の満月の日「元宵節」に開封するという習わしがあったそうですが、今は失礼のない程度にすぐ見てしまう人が圧倒的多数です。

家に飾る生花を求めて花市へ

旧正月には家の中におめでたい花々を飾ります。旧正月の1週間ほど前なると香港の複数箇所に臨時の花市場「年宵花市(フラワーマーケット)」が設けられ、人々はお正月の花を買いに集まります。会場にはおめでたい意味をもつ切り花や鉢植えがぎっしり並び販売されるほか、生活用品やおもちゃ、スナックの販売屋台なども出て、まるでにぎやかな縁日のように楽しめます。

お正月に飾られるおめでたいとされる花の代表格とその意味
・金桔(カムカッ)キンカン
桔(カッ)は吉と同じ発音で、吉がたくさん実る
・五代同堂(ンードイトントン)ツノナス
五つの突起が家族を表し、子孫繁栄をもたらす
・富貴竹(フーグワイジョッ)万年竹
上へ上へと背を伸ばす竹のように運を伸ばす
・水仙花(ソイシンファ)スイセン
良い香りに乗って福が家にやってくる

新年のしきたりと華やかなイベント

初一の朝は人に起こされてはいけないと言われています。人に指示をされる、仕事に追われる一年になってしまうから、というのが理由だそうです。自ら目覚め身なりを整えると、お年始を携えての年始回りがはじまります。
初一の夜は、にチムサアチョイ(Tsim Sha Tsui/尖沙咀)で行われる香港インターナショナル・ナイト・パレード、初二の夜にはビクトリア・ハーバーでの花火など、夜に行われる華やかな行事が人気です。

あけましておめでとうのご挨拶「恭喜発財!」

「あけましておめでとう」にあたる言葉はいくつかあります。一番のスタンダードは「恭喜発財(ゴンフェイファッチョイ)」で、お金の巡りが良きように、財が築けますようにという意味の香港らしい言葉で、人に会うとまず発する旧正月の挨拶です。「新年快樂(サンニンファイロッ)」という言葉もありますが、こちらはどちらかというと新暦の正月に使われるもので、旧正月での使用率は低めです。

そのほかよく用いられるのは
心想事成(サムソォンシーシン)=心に思ったことが成就しますように
生意興隆(サンイーヒンロン) =仕事や商売が順調でありますように
金玉満堂(カムヨッムントン) =家庭の中に金銀が満ちますように
出入平安(チョッヤッピンオン)=日々平穏無事でありますように
龍馬精神(ロンマージンサン) =縁起の良い神馬・龍馬のように勢いのある心持ちで
如意吉祥(ユーイーガッチョン)=すべてのことが思い通りになるように
年年有餘(ニンインヤウユゥ) = 年々お金が余り(貯まり)ますように

旧正月の香港旅行を楽しむには

冒頭にも記したように旧正月が香港の寒さの底とも言われる時期。ホテルによってはエアコンに暖房機能がついていないこともあるので、重ね着などで調整のできる服装を用意することをおすすめします。
また、以前は旧正月中は飲食店も開いていないことがありましたが、今は時代も変わり、旅行中の食事に困るようなことはありません。ただ、割増料金になっていり、セットメニューのみの提供だったりと、旧正月ならではの営業形態のところも多いので、予約時や入店前に確認をお忘れなく。
旧正月のパレードや花火で、特にチムサアチョイ付近の道路は通行止めになる時間帯もあるため、イベント会場には少し早目に到着するように心がけましょう。

おめでたさに包まれる旧正月の街並みや忙しく動き回りつつもどこか楽しげな香港の人々の様子は、旅行者にとっても印象的なものになるでしょう。旧正月の訪港時には、こんな習慣や準備があってのことなのだとなんとなく思い出してみてくださいね。

香港の旧正月の伝統行事についてはこちら

掲載の情報は2019年1月時点の内容です。

Written by : 池上 千恵

フリーライター。出版社勤務を経て、約6年香港に居住。『香港路地的裏グルメ』『香港 無問題』など複数の関連著書を持つ。現在は年3~4回の訪港で生活感のある香港を探求し、雑誌・ウェブを中心に活動中。香港政府観光局公認『超級香港迷』(大の香港ツウ)として講演なども行う。2018年12月に新著「香港癒やしの半日旅」を刊行予定。
ブログ:香港*芝麻緑豆
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